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相続人が複数の不動産売却方法は?円満に進める手順と注意点

売却お役立ちコラム

野村 朋洋

筆者 野村 朋洋

不動産キャリア20年

生まれも育ちも川崎です。
豊富な経験と知識を生かしお客様のベストな物件をご紹介いたします。


親が亡くなり不動産を相続したものの、相続人が複数いて売却方法が分からない。
このような不安や戸惑いを抱えている方は少なくありません。
相続不動産は、遺産分割前の共有関係や相続登記の有無、さらに相続人全員の同意の有無によって、進め方や必要な手続きが大きく変わります。
その一方で、話し合いを後回しにすると、固定資産税の負担や建物の劣化リスクが年々重くのしかかってきます。
そこで本記事では、相続人が複数いるケースで不動産を売却する基本から、代金の分け方、手続きの流れ、トラブルを防ぐポイントまで、順を追って分かりやすく解説します。
相続人同士の負担や不安を減らし、納得して売却を進めるための具体的な考え方を整理していきましょう。

相続人が複数の不動産を売却する基本

相続人が複数いる場合、被相続人の不動産は遺産分割が終わるまで、相続人全員の共有状態になります。
この段階では、まだ誰がどの部分を取得するかが確定しておらず、遺産全体をどのように分けるかを話し合うことが前提となります。
また、不動産については相続登記を行い、登記事項証明書上の名義を被相続人から相続人へ移しておくことが重要とされています。
相続登記が済んでいないと、その後の売却手続きや金融機関とのやり取りが複雑になりやすいため、早めの手続きが望ましいです。

民法上、相続人が複数いる場合の不動産は「共有」となり、各相続人は法定相続分や遺産分割協議の内容に応じた持分を有することになります。
共有者は、自分の持分そのものを処分することはできますが、不動産全体を売却するためには、原則として共有者全員の同意が必要です。
例えば、売買契約の締結や抵当権の設定など、不動産全体に影響する行為については、共有者の一部だけで進めることはできません。
このように、複数の相続人が関わる不動産の売却では、権利関係と同意の範囲を正しく理解しておくことが大切です。

相続不動産の売却を検討する前には、まず相続関係を客観的に確認できる資料を整える必要があります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍一式や、相続人全員の戸籍、相続関係説明図を作成しておくことで、誰が相続人かが明確になります。
さらに、不動産については最新の登記事項証明書を取得し、所在地や地番、家屋番号、現在の名義人が誰かを確認することが重要です。
これらの基本情報を整理しておくことで、遺産分割協議や売却手続きが円滑に進みやすくなります。

確認項目 主な内容 目的
戸籍一式 相続人の範囲確認 権利者特定の基礎
相続関係説明図 家族関係の整理 相続人構成の可視化
登記事項証明書 不動産の権利状態 登記名義と内容確認

相続不動産を売却して現金を分ける主な方法

複数の相続人がいる不動産を売却して現金を分ける代表的な方法として、換価分割があります。
これは、不動産を売却して得た代金を、法定相続分や遺産分割協議の内容に沿って分配する考え方です。
評価の難しい不動産を現金化することで、公平感を得やすく、後々の利用方法を巡る対立も生じにくくなります。
もっとも、売却価格の目安や分配割合については、事前に相続人同士で丁寧に話し合っておくことが重要です。

次に、代償分割という方法では、特定の相続人が不動産そのものを取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払います。
この仕組みを用いると、実際に不動産を利用したい相続人が所有権をまとめつつ、他の相続人には金銭で公平を図ることができます。
一方で、代償金を支払う相続人には資金力が求められ、支払方法や期限について明確な取り決めが必要です。
後の紛争を防ぐためにも、代償金の額や支払条件を遺産分割協議書に具体的に記載しておくことが大切です。

また、不動産を共有名義のまま売却する方法と、各相続人が持つ共有持分のみを売却する方法もあります。
共有名義のまま売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要となる一方、物件全体を一体として扱うため、買主にとって分かりやすい取引形態といえます。
これに対して、共有持分のみを売却する方法は、特定の相続人だけが自らの持分を手放せる反面、買主にとって利用しにくい権利となりやすく、売却条件が厳しくなるおそれがあります。
どの方法を選ぶにしても、将来の利用方針や相続人同士の関係性を踏まえて、慎重に検討することが重要です。

方法の種類 主な内容 注意すべき点
換価分割 売却代金を相続人で分配 価格と分配割合の合意
代償分割 一人が取得し代償金支払 代償金額と支払条件の明確化
共有名義で売却 全員名義のまま一括売却 共有者全員の同意確保
共有持分のみ売却 自分の持分だけ第三者へ売却 買主が見つかりにくい可能性

相続人が複数の不動産売却手続きと必要書類

相続人が複数いる不動産を円滑に売却するためには、まず遺産分割協議書を整えることが重要です。
協議書には、誰がどの不動産を取得するか、売却代金をどのように分けるかなどを明確に記載し、相続人全員が署名し実印を押します。
さらに、相続登記や金融機関の相続手続きでは、実印とともに発行後3か月以内など有効期限が定められた印鑑証明書の提出が求められる場合があります。
このため、事前に必要部数を確認し、早めに市区町村窓口で準備しておくことが大切です。

相続した不動産を売却する一般的な流れは、相続登記を完了させてから売却活動に進む形が基本とされています。
令和6年4月からは、相続登記の申請が義務化されており、相続人は相続開始を知った日から3年以内などの期限内に所有権移転登記を申請する必要があります。
相続登記では、被相続人の戸籍関係書類や相続人全員の戸籍、遺産分割協議書などをそろえたうえで、法務局へ申請します。
その後、相続人名義に登記が完了してから、不動産会社への相談や売買契約、決済・引渡しといった通常の売却手続きへ進むのが一般的です。

売却が完了すると、譲渡所得が生じた場合には、所得税と住民税の申告と納税が必要になります。
国税庁の案内では、不動産の譲渡による所得は譲渡所得として区分され、他の所得と分離して税額を計算することとされています。
また、一定の条件を満たす相続した空き家の売却については、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」の特例により、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度が設けられています。
この特例は、相続により取得した被相続人の居住用家屋またはその敷地等を、定められた期間内に譲渡した場合に利用でき、適用には細かな要件や必要書類があるため、事前に国税庁の資料で確認することが重要です。

手続きの段階 主な必要書類 確認しておきたい点
遺産分割協議段階 遺産分割協議書・実印・印鑑証明書 相続人全員の合意と署名押印
相続登記申請段階 戸籍一式・協議書・固定資産評価証明書 申請期限と登録免許税の確認
売却完了後の申告段階 売買契約書・仲介手数料領収書 譲渡所得税と特別控除の要件

複数相続人で不動産を売却する際のトラブル予防策

複数の相続人で不動産を売却する際は、売却価格や代金の分け方を明確にしておくことが重要です。
まず、誰がどのような名義や持分で相続しているかを確認したうえで、売却後の分配方法を事前に話し合います。
その際、口頭の約束だけに頼らず、全員の合意内容を日付・署名入りの書面として残しておくと、後日の誤解や記憶違いを防ぎやすくなります。
さらに、分配時期や費用負担の扱いも具体的に決めておくことで、感情的な対立の芽を小さいうちに摘むことができます。

相続人の中に連絡が取りにくい人や、売却自体に同意しない人がいる場合は、早期に対応策を検討することが大切です。
家庭裁判所の遺産分割調停を利用すれば、中立の立場にある調停委員が間に入り、遺産全体の分け方について話し合いによる解決を目指すことができます。
それでも合意が得られないときは、調停不成立となり、自動的に審判へ移行して裁判官が分割方法を決める流れとされています。
連絡が取れない相続人がいる場合など、個別事情によって必要な手続や資料が変わるため、無理に話し合いを続ける前に、専門家への相談も検討した方が安心です。

不動産の相続問題を放置すると、固定資産税の負担だけが続き、建物の老朽化や空き家化が進むおそれがあります。
総務省統計局の住宅・土地統計調査でも、空き家が増加傾向にあり、腐朽・破損が見られる住宅も一定数存在することが示されています。
このような状態になると、売却しにくくなるだけでなく、管理責任や近隣トラブルのリスクも高まります。
相続発生から年数が経つほど相続人の世代交代や人数増加により合意形成が困難になるため、できるだけ早期に売却や利活用を含めた方針を家族で検討することが大切です。

予防したいトラブル 主な原因 主な予防策
売却価格を巡る対立 相場認識の違い 事前の資料共有
分配割合の不満 法定相続分の誤解 分配方法の書面化
連絡不能による停滞 相続人の所在不明 早期の連絡体制整備
長期放置による劣化 方針決定の先送り 早期売却の検討

まとめ

相続人が複数いる不動産の売却は、共有関係や相続登記、遺産分割協議の内容をきちんと整理することが重要です。
換価分割や代償分割、共有持分のみの売却など、方法ごとのメリット・デメリットを理解して選ぶことで、後のトラブルを減らせます。
また、必要書類や税金、特例の有無を早めに確認し、長期放置による負担増も避けたいところです。
当社では、相続人間の調整から売却方法のご提案、手続きのサポートまで丁寧にお手伝いします。
まずはお気軽にご相談ください。

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